2017年9月13日「ニセバスドライバー」エレンフト→ウランバートル

寝台バスは快適で、夜中に何度も起きるということもなく、ぐっすり眠れた。

 

朝6時ごろに目覚めて窓の外を見る。見渡す限り、地平線の先まで何もない。

ゴビ砂漠だ。

 

 

 

 

 

7時過ぎにエレンフトのバスセンターに着いた。モンゴルとの国境は徒歩や自転車では通り抜けることが出来ない。そのため、国境を行き来するジープがあり、それに乗らねばならない。ザミンウードまで大体40から80元で行けるらしい。

 

バスセンターを降りるとタクシーの運転手に話しかけられた。

ザムゥート!ザムゥート!と言っていて、初めなんのことか分からなかったが、ザミンウードのモンゴル読みであることに気付いた。
不安だったがとりあえずそのタクシーに乗ってみる。町中を走り別の大きなバンが停まっている場所に連れてかれた。どうやらこのバンで国境を越えるようだ。タクシー代20元を払いそのバンへ。値段を聞くと100元だ、と言う。


聞いていた料金と違う。このまま乗ったら不味い気がしたし考える時間がほしくてとりあえずそこから離れて銀行に行った。もしものためにお金は多めに持っておきたい。銀行から出てしばらくするとザミンウードに行く別のバンの運転手に出会う。80元で連れてってくれるらしい。このバンに決めて乗り込む。

 

しかし、一向に出発しない。運転手に聞いても何も分からない。

1時間近く待ったところで、共に赤い帽子を被った二人組の男が唐突に乗った。そして発進。

 

まずい、と思った。このまま人目のつかない場所に連れてかれて三人がかりで身ぐるみはがされるかもしれないと思えたからだ。


しかし、バンは、少し進んでは停まって男たちが降り、しばらくしたら車内に二人組が戻る、そしてまた少し進んでは....を繰り返した。

二人組の男は何かしらを持ち込んで車内に戻りそれを積む。それをみて男たちがただ買い物をしているだけと言うことに気付いた。一通り買い物が終わった様子になり、ようやく出発か、と思いきや、バンは元の位置に戻ってきてしまった。


いつ出発するんだ?と聞くと二人組の片方(以後太めの男)が英語で答えてくれた。あと一人、客が来るのを待つらしい。
運転手があと一人客を捕まえるまでしばし車内で太めの男と話した。太めの男は30代のモンゴル人でモンゴルは日本車が多いことや相撲が人気であることを教えてくれた。

 

30分ほど待ってようやく国境に向かって出発。

 

モンゴル側のパスポートコントロールに並ぶ40人ほどのなかでアライバルカードを書いているのは僕だけ。ツーリストはだれもいない。無事国境を越えるとバスが一台待っている。太めの男がウランバートルに行くバスだと教えてくれた。100元だそうだ。予定ではここからは電車でウランバートルまで行く予定だったが、次の電車まで6時間もあるし回りを見渡すと駅らしきものを見つけられない。地図があれば良かったがこの時持っていなかった。しょうがなくバスの前で料金
を支払い乗車。寝台ではないがゆったりとした席で寝心地は良さそうだ。太めの男はすぐ前に座っている。19時頃着くらしい。疲れていたためすぐに寝てしまう。一時間ほど寝て目覚めると辺り一面に草原が広がっていた。ほとんど小麦色で所々少し緑が混じっている。モンゴルの短い夏が終わりつつあるのを感じた。


太めの男が馬の群れや羊の群れを見つけると僕に教えてくれた。とても美しい景色でこれからここを自転車で走れることに興奮した。

 

5時間ほど走り昼御飯休みになった。小さな町の食堂に乗員全員でぞろぞろと向かう。ご飯と鶏肉のチリ炒めを食べた。バターミルクティーが美味しかった。

 

 

 

クルミをもらった。

 

車内ではずっとモンゴルの曲が流れる。PVがどれもこれも草原が舞台で面白かった。

 

 

運転手が食堂でバス料金を徴収しだした。

そして僕にも100元払え。と言ってくる。しかしもう既に払っているはずだ。言い争っていると英語を話せる乗客の一人が間にはいって翻訳してくれた。

 

バスに乗るとき運転手のように振る舞いバス料金を徴収した男は全くの部外者だったらしい。本物の運転手にstupid と言われてしまいもはや笑うしかなかった。確認不足。


予定より大幅に遅れ21時にウランバートルのバスターミナルに到着。遅すぎる。今からホテルを探すのか....と落胆していると太めの男が車で市内のホテルまで連れてってくれることになった。バスターミナルでしばらく待っていると太めの男のお父さんが車で来た。観光客向けのガイドの仕事をしているらしく日本語もそこそこ話せるみたいだ。お礼とお別れの挨拶をしてホテルへ。案内されたホテルは綺麗で受付もしっかりとした対応をする立派な所だった。お値段もそれなりに立派だが新しくホテルを探す気になれなかった。すぐにでもベッドに潜りたかった。